駐車場のある雑木の庭 作庭 その5
いよいよ、お庭施工も大詰めを迎え、今回は植栽です。
雑木の庭を作るに当たり、落葉樹を多く取り入れることもあり、今回はこの季節を植栽時期に選びました。落葉樹は葉が落ちる秋の終わり〜冬の時期が最も移植に適しています。
前回までで土入れは終わっておりますので、樹木の調達に向かいます。
今回お伺いしたのは、小島植物苑さん。川崎にある植木材料屋で樹木医である小島さんが樹木の世話をしてくれています。樹種はある程度決まっていたのですが、今回の現場に合う柔らかい枝ぶりを求めて、自分の目で良い木を見極めます。
そうして選んだ木々を当日に配達して頂きます。
今回も、曹くん(上海の造園会社の息子さん)が手伝いに来てくれています。小島さんの所からは新しく入った女の子が配達に来てくれたので一緒に積み下ろし。この時、根を痛めないよう優しく扱います。
それぞれの植え込み先は既に頭の中にイメージしていたので、所定の位置に仮置していきます。そして、配置が決まったところ。
今回は、予算に限りがあったため最大でも3.5m程度に留めていますが、それでもお庭に対して寂しくなりすぎないようバランスを考えて選定してきました。もちろんこれから大きくなって良い環境を作ってくれることは間違い有りません。
それぞれの樹木が伸びようとする方向を見極めることが重要なため、将来を見据えて植えていく必要があります。手早く作業をしていく必要がありますが、ここでは一息ついて、じっくりと木々を眺め思考します。
ここで選ばれた樹種は、中高木に、アオダモ・ジュンベリー・アオハダ・イロハモミジ・ナツハゼ・シラカシ・ソヨゴ、そこに低木のツリバナ・常緑のマユミ・ガマズミを添えます。今回ナツハゼは小さめのものを入れていますが、最終像を常に意識して、バランス良く育てていきます。
配置、向きが決まったら植え込みです。
根鉢にスコップが当たらないよう注意しながら、植栽を植え込んでいきます。ここで、お施主宅に元々あった椿などもお庭に移植して行きます。植え込み時には、植え穴に腐葉土を混ぜ込み、通気性を高めます。
植え込み後は、水鉢を作り、水やりをします。
植え付け後の様子はこちら。
だいぶにぎやかになってきました。植物が入ることで空間が締まります。
そこにさらに、雑木の苗木を加えていきます。
今回用意したのは、コナラ・ミズナラ・エゴノキ・イヌシデ・アカシデの5種類で20ポット分。これを混色していくことで、将来美しい雑木の庭が出来上がります。
成長に伴い、木々が干渉し合うことがあれば、剪定または間引きを加えていくことで、5〜10年後にはバランスの取れた、落ち着いた空間となります。
予算に都合がつき、初めから高木を植えられれば、作ったその場が最終形ともなりえますが、成長過程を楽しめ、更にはそれぞれが場に適した成長の仕方をしていく今回のような植え方は植物にとっては無理のないやり方であると感じます。
植栽後は、土壌としっかり馴染むよう水やりをします。
そして、整地。
整地を行うことで、場の地形が浮かび上がってきます。春先には芝張りを行う予定であるため、地盤をしっかりと作っていきます。
この整地作業のために、再び埼玉から塩野さんが手伝いに来てくれました。熟練の手つきで、手早く作業を進めてくれます。
そこで私はというと、お客様からのご依頼で落ち葉コンポストを作成しています。
今回は3段式で、それぞれを入れ替えていくことでコンポストを混ぜられるようなシステムとしました。
まず、それぞれがしっかりと重ねられるように作成し、その後、角を丸めることで、接触を良くします。細かいところも手を抜きません。
蓋も作り、防腐剤を塗り込んだ跡がこちら。
ウッドフェンスともよく馴染んでいます。
そして、お庭もいよいよ最終段階一歩手前となりました。
こちらが正面から。
寄ってみます。
すでに散ってしまっている木々も多いのですが、晩秋の彩りが美しくお庭を引き立てます。3m程度ですが、風で倒れないように支柱も取り付けてあります。
そしてお施主様お宅方面より。
駐車場へと向かう足取りが軽やかになれば、喜ばしいものです。
飛び石の小道はこのようになりました。
小道は倉庫・コンポストへのアクセスのし易さを考慮して、設計当初はなかったものの、施工時に急遽追加しました。
そして、交点の部分です。
洗い出しの園路と、飛び石及び枕木がフラットになるように、また見た目にも美しく調和するよう考慮して、仕上げています。
今後は、いかに質の良い手入れをしていくかが良い空間を作るのに重要となりますが、中山諒二造園設計では、自社設計・自社施工に加えて自社管理をモットーとしておりますので、今回のお庭も責任を持って育てていきます。
これにて一旦は終了となりますが、春を待ち、芝生を貼り完成となります。
また芝張り時の様子はここに載せようと思います。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!