駐車場のある雑木の庭 作庭 その3
駐車場のある雑木の庭 作庭 その3 ということで、今回はアプローチの施工です。
大谷石、枕木を敷いていく中で車を停めて乗り降りする場所を検討し、使い勝手を考慮しながらアプローチ設置箇所を決めていきます。
大まかな場所が決まったら、土を掻いていきます。車は通らないとはいえ、末永く使用して頂くためにはある程度の強度も必要となるため、今回は15cmの深さで掘り、下層に砕石10cm、その上に7cmコンクリートを敷き、仕上げに3cmの洗い出し用砂利を敷き込んでいきました。
将来もし、車いすになったら…とのお施主さんの一言で、今回のアプローチは段差のないバリアフリーデザインとすることにしました。またユニバーサルデザインも考慮して園路幅は90cmと広めにとってあります。
アプローチの位置が決まったら、再び駐車場敷設に戻り、作業を進めます。この日は、造園仲間が集まってくれたため作業が捗ります。まずは曹くん。上海から来てくれています。ご実家は中国で造園会社を営んでおり、本人は日本で技術を学ぶという努力家で、千葉大学の院を卒業後、日本庭園のいろはを身に着けつつあります。
曹くんには、アプローチの第一歩を歩くための、大谷石を設置してもらいます。写真後方には、既存のエントランスからアプローチへ向かうための飛び石が準備してあります。
エントランスからの小道は、富士植木時代に苦楽を共にした吉田さんが施工を手伝ってくれました。お客様の家で不要になった石材を組み合わせて、新たに美しいものを作り上げていくことも造園の1つのやり方であるため、小道の板石は既存のものを使用しています。
その後、アプローチへの砕石投入、プレートでの踏み硬めを済ませ、大谷石と枕木を園路のアクセントとして加えます。打ち合わせ段階では、アプローチのみの予定でしたが、小道はお庭の端に倉庫を置きたいとのご要望があったため、そこへのアクセスがしやすくなるように設置することとしました。
形が見えてきたら、コンクリートを流すための型枠をつけていきます。
型枠にはうねりが出せるようRコンパネを使用。コンクリートの強度を出すため、鉄筋も隙間なく配置します。今回は、休日施工ということも有り、生コン車は手配せず、コンクリートミキサーで自家製コンクリートを作成して打っていくことにしました。
この日作業を手伝ってくれたのが、フランスから来てくれたロナン。現在は東京の造園会社にて技術を学んでいます。体を鍛えるのが趣味ということで、重いコンクリートを一輪車波なみに入れて運んでくれます。休憩中にはココア味のプロテイン。
ロナンの活躍とその他もろもろあって、アプローチ及び駐車場へのコンクリート及び川砂利ネタも敷き終わり、凝固遅延剤を撒いてこの日は終了。翌日に洗い出し仕上げをします。せわしなく動き回っていたせいで、写真は全く撮れませんでした。
翌日の様子がこちら。一人でやっているので写真を取るタイミングを逃してすでに洗い出しはスタートしています。養生を剥がすときに少し跡がついていますが、洗い出される部分以外は固まっているため問題有りません。雨も降り始めてきましたが、これは良いタイミング。自然に洗われていくためコンクリートも残りにくくなります。
シャワーと刷毛で優しく繰り返し洗っていくと、美しい砂利が顔を出してきます。
園路部分がこちら。
駐車場部分が終わる頃には、雨も本降り。しかし、無事に仕上げることが出来ました。
駐車場部分のアップがこちら。
こちらも美しい砂利が顔をのぞかせています。枕木との境。
このように枕木の間もしっかりと固めていくことで、土に触れる機会が少なくなり、腐りにくくなります。土に直接枕木を敷いてしまうと、土壌微生物により分解が進み腐りやすくなってしまいます。材料はそれぞれ適切に使用していくことで、長く使うことが可能となります。
雨の中、孤独な作業となりましたがこれにて駐車場及びアプローチが完成しました。
残すは、ウッドフェンスと小道、そして土壌改良、植栽です。
続きはまた次回!