ゴールドクレスト、シルバークレストの伐採と新規植栽
秋深まり、日々肌寒くなってきましたが皆様お元気でお過ごしでしょうか?
今回は、千葉県のお客様からのご依頼で伐採・伐根及び新規植栽工事を行いましたのでご報告致します。
2度の台風が千葉県を襲ったことは記憶に新しいかもしれませんが、その影響により、お庭のゴールドクレスト及びシルバークレストが傾いてしまったとの連絡を受け、下見に伺いました。場所は習志野市。付近は閑静な住宅街で洋風外構のお宅が立ち並びます。
こちらが現状の様子。
ゴールドクレストは8m程度、シルバークレストは4m程度あり、大きく成長した木々が自身の重さに耐えられなくなり、傾いてしまっているようです。植え込みますの大きさを見てみるとこのような感じ。
とても8mの木を支えられる根が張れるサイズでは有りません。お庭が作られたときに既に植えられていたようなので、外構の方があまり深く考えずその場の雰囲気に合わせて植樹したのでしょうが、これでは樹木が可哀相です。何回かブログにも書いていますが、樹木は生き物であり成長していくものですので、5年、10年先のことを考えて扱っていく必要があります。
また、玄関前のエゴノキについても、植えたものの枯れてしまったとのことで、植替えをご依頼であったため合わせて検討することとしました。
植物が枯れる原因は様々ですが、成長には大きく分けて水・養分・光が作用します。エゴノキは元来、雑木林や川辺に生える中高木で、比較的手の掛からない樹木で一般的に造園樹木として扱われます。千葉県という環境で、今回のお宅の日当たり条件であれば、十分に成長可能です。そこで、土に問題があるのでは、という懸念のもと、少し掘ってみることにしました。
土壌を確認してみると、有機質が少ない砂質土であることが分かりました。一般に雑木類は有機質の多い土壌を好みますから、この土壌の性質が災いした可能性があります。また、ゴールドクレスト・シルバークレスト植栽部も同様の土壌であったため、伐採後、土壌改良も含めた新規植栽をご提案することとしました。
こちらが今回のご提案内容になります。
植え込みスペースの狭さ及び、お隣の方への枯れ葉等が飛ばないようにとのご依頼も有りましたので、ゴールドクレスト伐採部には、洋風のお庭に合わせ、常緑樹のシルバープリペットを主とした彩りのある空間をつくることにしました。また、エゴノキ伐採部は、お宅、ウッドフェンス、その他の植栽とのバランスを考慮するとあまり大きくなりすぎたり、背が高くなりすぎるものであるとアンバランスになってしまいます。そこで将来的にウッドフェンスと干渉しない、バランスも良く調和する中低木であるツリバナの植栽をご提案しました。これにより、季節を通じて”色”を感じることが出来ます。さらに当日は、やや成長が進んでいるフェンス後ろのシマトネリコも剪定することにしました。
そして作業当日。まずは、枯れてしまっているエゴノキを掘り取ります。こちらがエゴノキの根っこ部分。
ほとんど根が成長できていないことが分かります。また、根の周囲にはビニールの紐が巻き付いています。ホームセンターなどではたまに、このように土に返らない素材で根を固定している場合もありますので、個人で植え付ける際には注意が必要です。中山諒二造園設計で扱う樹木に関する造園資材はすべて自然に返るため、環境にも優しい施工が可能です。
そしてゴールドクレスト及びシルバークレスト伐採・伐根作業も速やかに進みます。
いずれも全周囲に根が張れない分、1方向のみに長く伸びており、植物がなんとか生き延びようと努力した結果が垣間見れました。
こちらが伐採・抜根後。こちらには低木を植えるため、さらに30cm掘り下げておきました。
前方の多肉植物もプランターに移します。
一方で、エゴノキ堀り取り部分には、ある程度の大きさの樹木が入るため、既存の砂質土壌を60cm分掘り下げました。
これにて下準備は完了となりましたので、土壌改良を行います。土壌改良には樹木の成長に必要な有機質を多く含み、保水性のある黒土を用意し、そこに腐葉土を混ぜ込み土壌を改良させる微生物の発生を促します。今回は300kgの土壌を入れ替えました。
それぞれの堀り取り箇所に改良土壌を混ぜ込んでいきます。
混ぜ込んでくれているのは、曹くん。何度か登場しておりますが造園を学びに上海から来てくれています。
土壌改良後は、植え込みです。まずは玄関前のシンボルツリーとなるツリバナを植え込みます。
バランスや向き、今後成長していく方角等を考慮して最適な場所を探ります。位置が決まれば、植え付けて水鉢を作ります。
次に、低木類を植栽します。
今回用意したのは、シルバープリペット、ナンテンオブセス、コンフューサ、フッキソウになります。ナンテンオブセスは、大きくならない矮性のナンテンですが、他のナンテンよりもこんもりとした形になるため、寄植えに適しています。フッキソウは、通常のものと、斑入りの2種類を用意しました。
それぞれの樹種をバランスを見ながら配置していきます。いずれも1年後には一回り大きくなりますので、周囲との空間にゆとりを持たせて植え込むことが必要になります。
曹くんが丁寧に作業を進めていきます。
その隙に、私はシマトネリコの剪定作業に移ります。お客様の手により、太い部分で大きく切られてしまっている箇所がいくつかあったため、今回だけで樹形をまとめることは困難でしたが、まずは一回り小さく仕上げました。
最後に植え込みスペースの仕上げを行い、水やりを済ませ、完成となりました。ツリバナには、簡易支柱を施し、万が一の天災に備えます。
こちらが完成後の様子。
伐採前と比べ、空間が広くなったようにも感じます。低木類も玄関アプローチ脇から顔を覗かせています。
来年には隣の植栽と並ぶくらいに大きくなり全体のバランスも良くなります。現状でも華やかな彩りが歩くのを楽しくさせてくれそうです。
今後は、お庭の成長に合わせた剪定作業を行っていくことでより良い空間をつくっていきます。
年末に向けて、忙しくなるお庭の管理業務。
まだの方はお早めに中山諒二造園設計までご連絡ください。
ではまた次回!