SITES 認証制度についての紹介

SITES認証制度は、米国発祥のランドスケープ(屋外空間)に対する環境認証の制度です。弊社代表もSITESの指導的立場(SITES AP: Accredit professional) であり、自社の仕事においてもサステイナブルなランドスケープデザインを推進しています。

以下が認定証です。

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弊社でもデザインや施工時の参考として利用しているSITES認証ですが、一体どんな認証制度なのでしょうか?読み進めて頂くことで概要がつかめるはずです。

SITES認証の正式名称は、Sustainable SITES Initiativeで、日本では調布にある深大寺ガーデンや、東京駅近郊のTOKYOTORCH 常盤橋タワー、HARUMI FLAG などが屋外空間でのサステイナブルな取り組みが評価され、SITES認証を授与しています。 本認証のフレームワークは、ランドスケープエリアの設計・施工・管理をする際に、生態系を保護し、気候調節、CO2貯蔵、洪水緩和など、より良い生態系空間を作り維持するための10のセクションから構成されており、認証にある各項目を満たした点数の合計により、サーティファイド、シルバー、ゴールド、プラチナとランクが分かれます。

SITES認証制度の詳細は以下のURLをご覧ください。

https://sustainablesites.org/certification-guide

もちろん、ランクが高いことで評価も上がることは間違いありませんが、認証をとることで、世界中に対して、施工された屋外空間が環境に配慮したデザイン・施工・運営により上記で挙げた内容を網羅した生物多様性、人の健康を向上させ、地球温暖化を緩和させるような開発であることの証明が出来ます。

認証が取れるプロジェクトは、新規開発で186㎡以上の屋外空間と定められているため、通常のお庭では困難なのですが、小さなお庭の設計においても認証内容を当てはめてみることで、サステイナブルな空間に仕上がっているかについて検討することが出来ます。

特に我々のようなデザインも施工もするようなランドスケープのプロフェッショナルにとって、SITES認証は環境に配慮した設計についての示唆を与えてくれるだけではなく、施工時にどのような材料を使用することが環境に優しい開発になるのか、管理運営時に最も環境に悪影響を与えないもしくはプラスの効果を与えるための方向性を示してくれます。

実際に中身を見てみると、設計開発の際の一部分に努力するだけではなく、包括的な配慮をすることが認証獲得に必要だということが分かると思います。

ここでは簡単に10のセクションの概要を示してみたいと思います。

1.敷地のコンテクスト

計画地が、既存開発であったり、既に生態系が確立しているような場所を破壊するようなものではなく、開発に適した土地であるかを評価する項目です。

2.設計前アセスメント・プラン

計画に際して、多様な専門家が参加し、開発の目標設定、開発地の調査、既存樹木などがある場合は、植生と土壌の保護ゾーンの設定等を行います。

3.サイトデザイン – 水

敷地内で雨水を浸透貯留させたり、灌水の要らない植生にするなど、雨水排水計画を立てることで水界生態系の保全を目的とした項目です。

4.サイトデザイン – 土壌及び植生

既存の土壌や植物の保全、新規植栽は在来種を多く使い、植栽に際しては階層構造を心掛ける等が要件となります。敷地内のヒートアイランド現象の緩和や、防風林としての役割を果たすことで加点となる項目もあります。

5.サイトデザイン – 材料選定

ランドスケープの施工において、絶滅危惧種の木材を使わないことが求められます。その他に、既存の植物や再生材を多く使用し、材料調達は地元で行う、サステイナブルな原料調達を行っている業者を使用する等が項目として定められています。

6.サイトデザイン – 人の健康及びWell being

開発敷地が、アクセスしやすく(バリアフリー等)安全であり、座ったり運動したりできるスベースであるかとうが問われます。畑などで野菜をつくれるか、生態系を脅かすような余分な照明がないかなども要件に含まれています。

7.施工

施工段階に対する項目で、施工中に敷地から土砂・雨水・汚染物質などが流出しないようきちんと管理されているかを評価します。重機を使用する際は、低CO2排出機器であるかまた、既存敷地の解体などが行われる場合は、廃材の再利用なども評価対象になります。

8.運営及び管理

ランドスケープの維持管理において農薬や化学肥料を使わない自然に優しい管理であるか、造園器具はCO2を発生しないものであるか等を問う項目になります。

9.教育及びパフォーマンスモニタリング

プロジェクトサイトで行った環境に負荷を与えない開発を周辺や世界中の人に知ってもらうため、プロジェクトの公開やモニタリングの実施などが求められます。

10.  革新性

上記1~9の中では触れられていない革新的な取り組みで、サステイナブルな開発を実現している場合得点に繋がる項目です。

実際に上記を満たすためには、それなりの努力と知識・経験が必要となる。しかし、これら項目を網羅することで、ランドスケープの計画・設計・施工・管理の各段階でサステイナビリティを向上させることが出来、より良い環境づくりに貢献できます。

実際にSITES認証に取り組まないとしても、環境に負荷を与えない設計やエンジンではなく電動機器を用いた管理によるCO2排出量削減等を率先して行っている弊社を選ぶことは地球環境を守る一歩に繋がるかもしれません。もちろん、弊社を通じてSITES認証に取り組みたいという方にはご支援・サポートすることが可能です。

ランドスケープの設計者の方や、新たなお庭を検討されている方でSITES認証について興味のある方はお気軽にお問い合わせください。